力善失敗記
第1話 1998年6月
1998年6月、私は少年柔道の指導者になった。
当時の私は30歳で警備会社に勤務していた。
警備会社では、
その部署は、『駅特警』と呼ばれていて、私は現場の責任者として、
仕事の内容は、
物品販売、音楽演奏、キャッチセールス、宗教勧誘、コンコースなどでの車座になっての飲み会、etc.
田舎の駅と違って、新宿駅や池袋駅などは、
鉄道営業法第35条に基づいて、違法行為をしている人間を見つけたら注意をして、駅構外に出てもらうように促すのであるが、それを素直に聞く人間などいない。
そのためトラブルの連続で、
毎日が殺伐としていた。
こんな仕事、もう辞めたい。
でも、逃げたくない。
感情が交錯して、日々悶々としていた。
そんなある日、1本の電話がかかってきたことによって、
当時は、ほんの数ヶ月のお手伝いのつもりであった。
しかし、気がつくと、
振り返ると25年間あっという間だった。
成功したことも失敗したこともたくさんあった。
この物語では、主に失敗した体験をもとに語っていきたいと思う。
これから、道場を立ち上げようとする。若い人たちのために。
また、既に道場のマネージメントをしている指導者のために。
何かの役に立てればに幸いである。
第一話
絵須柔道クラブ
1998年の6月のある日、1本の電話がかかってきた。